5
大きな手で、髪をかき混ぜるようにグシャッと撫でられるのが。はにかんだような笑顔で若葉に抱きつき、もっともっとと頭を押し付けた。それを受け止めながらもう一度撫で、再びご飯の準備をする。もう野菜だってお肉だって食べれるのだ。
そんな今日のメニューは若葉特製のオムライス。中のご飯はケチャップが偏っていたりとまだらで、上に乗っかっている卵は端っこが少し焦げている。これでも上達した方だ。
「……っし、紅葉ついてきぃ」
「う、ぅー」
「ほれ、ワイの足の間に座りぃ。ちゃう、机の方向くんや」
「あいっ!わかちゃ、すわりぃっ」
「……若葉やゆうてるやろ」
「わかちゃ?」
あぐらをかいた足の間に座らせ、名前を訂正しながらスプーンで一口食べさせる。自分でももうスプーンを使い出しているのだが、甘やかしたくなってしまうのだろう、結局若葉が食べさせているのだ。
そして紅葉が口を動かす間に、自分も一口二口と食べる。この繰り返しだ。
「うまいか?」
「う、まぃ」
「……美味しいか?」
「ぅ?お、しいっ!」
(はぁ…言葉使いも気をつけなあかんのか…)
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