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早くしないと、と先ほど鳴ったチャイムに焦る紅葉だが、これはここへきて初めて1人になった、親衛隊へのチャンスでもある。
クラスメートの誰かが連絡したのか、紅葉が1人でいるのを見て連絡が回ったのかは定かではないが、走る紅葉の前に人が立ちはだかるのは、当然のことだろう。
「っ……はぁ、?」
『やっと1人になってくれたね』
『このときをどれだけ待ってたか…』
(何、授業始まっとるのにぃっ)
紅葉ほどではないが、小さく男にしては可愛らしい子が2人。勝ち誇った笑みで腕組みをし、息を切らす紅葉の前に立つ。何のことかと首を傾げる紅葉は、すでに始まっている授業のことでさらに焦りをみせた。
それが自分たちに怯えているように見えたのだろう。2人は笑いながら紅葉の腕を掴み、歩き始めた。
「っ、っ…?」
『こういうとき、声が出ないのって便利だよね』
『ほんと。助け、呼びたくても呼べないでしょ?』
『てか、助けてくれる人いんの?』
『アハハ、いえてるーっ』
(っ…どこ、連れてくのぉ…?)
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