菖蒲から注意
それから蓮見にも渡し、紅葉はソファーに戻ってミルクと砂糖たっぷりのコーヒーを飲んだ。甘い甘い、もはやコーヒーとは呼べないものを…。
◆
「あっ、見て見て、紅葉寝てるー」
「……かわ、い…」
「こっちはしたくもねぇ仕事してるっつーのに、このチビ…」
「ま、まぁまぁ桐先輩。紅葉は関係ないですし…」
時間はすでに7時を回り、そろそろ帰ろうかとみんなの集中が途切れたとき。三葉が紅葉を指差してそういった。柔らかなソファーに沈み込むように横たわる紅葉は、ぐっすりと寝入ってしまっている。
大きな瞳は閉じられ、スースーと寝息に合わせて体が浮き沈みをする。キュッと閉じられた口は少しだけ緩んでいて、見ているこちらも微笑んでしまいそうな、可愛らしい寝姿だ。
「……あの、桐先輩」
「……あ゙?」
「今日みたいなこと、もうしないで下さい。この前の食堂の一件からただでさえ紅葉、親衛隊に目を付けられてるんです」
「………」
「今は特にありませんけど…氷鬼、どうなるか分からないほど彼らは苛立ってますし…」
「桐のとこは管理不足だからねぇ」
「紅葉、泣かしたくないなぁ」
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