6
だがそこは紅葉も譲らない。コップを握り締め、うー…っと桐に訴え続ける。その目はコップの熱さによって次第に潤んでいき、何やら思いついたらしい桐はニヤリと笑い、顔を近づけた。
「……ありがとな…」
「っ──!?///」
「クッ、…おら、さっさと戻れ」
耳元でイヤらしく囁き、おまけにそこは軽くキスを。紅葉は顔を真っ赤にし、サッとそこを手で押さえた。カップはいつの間にか桐にとられている。
(うぅ…あ、ぶないんや、この人はぁ…っ)
この前だって平然とキスしたし!そう解釈をした紅葉は、トレイを持って慌てて椿の方まで逃げていった。その姿をみんなが…桐が面白そうに見ていたとは知らずに。
──コト
「お、おおきになー紅葉チャン♪」
「っ…」
──"おおきにー紅葉。さっすが紅葉やわ"
「……紅葉チャン?」
「っ…(うんっ!)」
「おぁ、強烈や…」
花が咲く、といった感じだろうか。目の前で見せつけられた満面の笑みに、椿は手で顔を隠し、密かに耳を赤くした。若葉とかぶる椿に、紅葉はもう懐き始めているらしい。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!