[携帯モード] [URL送信]

「はいっ。これは桐ので、これは椿で…永井くんと紅葉くんはこの2つね」


 はい、と4つのコップの乗ったトレイを渡され、紅葉は凝視していた一葉から目をそちらに移した。さっきのは聞き間違いか、冗談だったのかもしれない。そう1人納得をし、トレイを持って桐たちのもとへ向かう。

 零さないよう慎重に運び、まずは桐に渡す。


「………ん、」

「………」

「………」

「……(ペシン)」

「っ…何だよ」


 受け取った桐は一口飲んだあと、何もいわずにコップを机に置いた。それが気に入らなかった紅葉はジッと睨みつけ、あの言葉を待つ。

 …だが桐がいうわけもなく、じれた紅葉はそのコップを取り上げてしまった。


「……あ゙?」

(ちゃんとお礼いわな、ダメって教わったもんっ)


「(プクーッ)」

「てめ、チビ、返せ」

「(フイッ)」

「っ…て、めぇ…」

「(あ・り・が・と・う)」

「ああ?」


 ありがとうは?と紅葉は口パクで催促する。それを読み取れはしたものの、桐は何でいわなきゃいけないんだという顔をした。会長の命令なんだから持ってくるのは当たり前。そんな意識を持っているのだから、いうわけがない。



[*前へ][次へ#]

11/100ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!