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「はいっ。これは桐ので、これは椿で…永井くんと紅葉くんはこの2つね」
はい、と4つのコップの乗ったトレイを渡され、紅葉は凝視していた一葉から目をそちらに移した。さっきのは聞き間違いか、冗談だったのかもしれない。そう1人納得をし、トレイを持って桐たちのもとへ向かう。
零さないよう慎重に運び、まずは桐に渡す。
「………ん、」
「………」
「………」
「……(ペシン)」
「っ…何だよ」
受け取った桐は一口飲んだあと、何もいわずにコップを机に置いた。それが気に入らなかった紅葉はジッと睨みつけ、あの言葉を待つ。
…だが桐がいうわけもなく、じれた紅葉はそのコップを取り上げてしまった。
「……あ゙?」
(ちゃんとお礼いわな、ダメって教わったもんっ)
「(プクーッ)」
「てめ、チビ、返せ」
「(フイッ)」
「っ…て、めぇ…」
「(あ・り・が・と・う)」
「ああ?」
ありがとうは?と紅葉は口パクで催促する。それを読み取れはしたものの、桐は何でいわなきゃいけないんだという顔をした。会長の命令なんだから持ってくるのは当たり前。そんな意識を持っているのだから、いうわけがない。
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