俺様はいつもキレてます 5
…それは、紅葉が心底思った疑問だった。ここに来たばかりの紅葉にとって、桐が来たからといって喜ぶ要素はない。むしろあのことがあり、会いたくないなぁ…とまで思っていたのだから。
が、桐はその文字を見て、『俺様だからだ』の一言で済ませてしまった。さすが俺様何様長谷川様、といったところだろう。
「さっさと立ちやがれ」
──グイッ
「っ…!?」
『いやぁっ、触らないで下さいっ』
『調子乗らないでよね!』
「あぁあ゙?!……ったく、行くぞ」
「っ、っ…?!」
周りに睨みをきかせ、紅葉の腕を引っ張っていこうとする桐に、紅葉は慌てて足を踏ん張った。なぜなのか、どこへ行くのかなど疑問が湧き上がってくるが、喋れないため訴えるように瞳を見つめてみる。
うるうるとした大きな瞳が、桐の切れ長の目を見つめる。それは周りから見たら少し危ないもので、菖蒲は慌てて2人の間に入った。
「菖蒲…邪魔するな」
「……どうしても、連れていく気ですか?」
「じゃなきゃここまで来ねぇだろ」
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