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 例えば書類や帳簿の整理など家の中で出来るものを少しずつ。そういった作業が苦手な若葉は少しうなり声をあげてしまったが、やらせてもらえれならそれにこしたことはない。分かったとの返事を伝え、ずり落ちていた紅葉を抱きなおした。


『電話したんはそのことだけや。ほな、次は…』

「ちょ、ちょお待って下さい!紅葉っ…ガキんことは何も聞かへんのですかっ!?」

『……ゆうたやろ、その子は椎名の子や。ワシには関係あらへん』

「なっ…!?」

『ほな切るで。滅多なことがない限り電話はせんようにしてくれや』


──ブツッ

(な、何なんやあのクソオヤジ…!!)


 一方的すぎる電話に、若葉はつい携帯を睨みつけてしまった。若気の至りとはいえ自分の子。少しは気にしていいものを、組長は完全に捨てたのだ。若葉だってたくさんヤンチャしてきたが、両親に捨てられることはなかった。常に気をかけてくれていたことをちゃんと知っている。

 …なのに、紅葉はどうだろう。母親の愛を知らないまま赤の他人に押し付けられ、頼れる人はこの若葉しかいない。




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