19 ▼辰巳side いわなくても互いの気持ちは同じだと思っていた。 言葉じゃ表せねぇくらいお互いのことを想って、そばにいるもんだと俺は思っていた。 ……いや、瑛太もそうなんだろう。 だが、コイツが極度の不安性だっつーことを忘れていた。 言葉にして、場所を教えてこそ瑛太に安心を与えられたなんてな…。 「オレッ…た、かみざわだけどっ…隣、いていい?」 「お前がどこの子だとか、俺には関係ねぇよ」 「っ…好き、オレから離れないで…!」 「離すつもりねぇから、んな情けねぇ声出すな」 コイツをこんな弱くしたのは、その高見澤のせいなのか、それとも俺と出会っちまったせいなのか。 どっちにしろ、家に連れ込んだときから離すつもりなんてなかったさ。 傷をつけたからとか、そんな甘っちょろい気持ちで好きになったわけじゃねぇ。 ………つーか、瑛太に好きっていわれんのはクるな…。 やっぱ、言葉に出して相手に伝えんのも、わるくねぇかも。 [*前へ][次へ#] [戻る] |