2ー5
「……あ゙?俺1人…か?」
「えっ、……あ、ホントだ…」
「ラッキーだな。自由に使い放題じゃねぇか」
「う、うん…えっと、ここはお風呂。一応大浴場もあるけど…」
「瑛太は?どっち使ってんだ」
「オレ?オレは部屋」
部屋の中と寮の説明を軽くしながら、辰巳の荷物を一緒に片付ける。
オレにとってはもうお馴染みのものばかりで、再び作り上げられていく辰巳の部屋に、心が落ち着いた。
何よりも、辰巳が端数で1人部屋になったことが安心した……んだけど。
「……お、瑛太これ、出てきたからつけとけ」
「ヘアピン…今?」
「当たり前だろ。いっただろ、俺はお前の目が見てぇんだよ」
「っ…はいはい、ちょうど邪魔だと思ってたとこだしね」
「素直じゃねぇな…」
違う!
本当に邪魔だと思ってたんだ。
目が隠れるようにって長くはしてあるけど、耳には届かないし…避けても戻ってきてたから。
だから辰巳からピンを受け取って、前髪を一つにまとめて頭の上でとめた。
ああ、辰巳がよく見える。
……なんでそんな、
悲しそうな顔をしているんだろうか?
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