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でも、さっきの紫烏を見てしまったからか、オレの口は全くといっていいほど動かなかった。
キン…金馬の後ろに隠れ、流れ出そうになる涙を堪えることしか出来ない。
早く、帰るなら帰ってくれ。
「ふっ…怯えてる姿も可愛ーよ、蝶々。また気ぃ向いたら顔だしてやっから」
『…………行ったぞ』
「ぅ、ん…っ、ごめ、良かった…ぁ」
『大丈夫か?』
「ちょっと…ムリ、かも…」
『え、』
自分が思っていたよりも、アイツと2人きりの時間は精神的にキてたみたい。
近くのイスに座り込んだまま立てなくなって、キンはそんなオレの頭を優しく撫でてくれた。
アイツのような嫌悪はない。
……辰巳のような暖かさもないけれど。
金馬はオレが入る前からいた人。2代目のときに辰巳と一緒に幹部になったっていってたような…。
背が高くて、無愛想に見えるけど…さすがcolors、みんないい人ばかり。
………アイツ以外は。
「……あれ?紫烏はどうしたんですか…って黒蝶、大丈夫ですか?」
「白虎さん……アイツ、帰りました」
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