13
「クスクス、やっぱり知らなかったんだ。可哀想にねぇ」
「うるっ…さ…っ」
「泣くの?泣いちゃうの?いーよ、俺の胸貸してあげるしさ、蝶々は特別にタダで」
「いらなっ…いらない、黙れよ!」
「……あー…そういう口の聞き方、嫌いだなぁ」
──ビクッ
カタンと音がして、目の前のコイツはフラリと立ち上がった。
笑ってるようで、笑ってない顔………違う、
お仕置きが出来ると嬉しそうなのを、隠しきれてないニヤケ顔。
だから、怖い。
オレはアンタの何なんだといいたくなる。
オレは弱いから、いえないのだけど。
「俺の胸で泣くよね?蝶々…」
──カランカラン
『………紫烏か?』
「……チッ、おひさーお馬ちゃん。俺の名前覚えてたんだね、偉い偉い」
『…………黒蝶?』
「っ……キン…キンッ」
「うわーうぜ、俺帰る。今日は我らが総長狼さんはこなさそうだしね、リーダーのくせに」
リーダーのくせに、なんてコイツにいって欲しくない。
滅多に顔出さないくせに。
アンタは情報しかないくせに。
辰巳の悪口なんていう資格ない。
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