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は……はぁあ!?
何でそんなことっ……ああ、コイツは愉快犯だ。
こっちが聞きたくてたまらないのに、わざとオレの嫌がることをさせる。
なら聞かなければいいんだけど、でも…オレの知らないことだったら?
それが、もし、辰巳が困ったりしてることだったら?
人から聞くのはどうかと思うけど、でも…。
──…チュッ
「教えて…下さい…っ」
「かーわいぃね、自分からチューしてくるなんて」
「っ、早く!」
「……はいはい。狼さんね、ガッコ辞めたらしーよ?」
「………え?」
「俺一回いったからもーいわない。もう一回いって欲しいならまたチューね」
「……いらないし」
いらない、今の一回で十分聞こえたから。
辰巳が学校を辞めた?
オレは、そのことを知らなかった。
そんな大切なこと…教えてくれなかったの…?
ああ、どうしよう、どうしよう…っ…思考が、ドンドン悪い方へと向いていく。
たまたま言わなかっただけなのかもしれないのに、どうしていってくれないんだと思ってしまう。
………紫烏は、知っていたのに。
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