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……オレは、コイツが好きじゃない。嫌いだし、どこか怖い。
「……はぁ、では買い出しに行って来ますので…黒蝶、店番よろしくお願いしますね」
「あ、はい」
「ふふ、あなたには特別に作ってあげますから」
「それ、エコヒーキじゃん。じゃー俺も金出さねぇ」
「………」
「っ…オレ、ちゃんと払うから…えっと、いってらっしゃい白虎さん」
「ええ、いってきます」
いつもそうだ、この店にはないものを注文する。
それに応える白虎さんも白虎さんだと思うんだけど……でも、そこがあの人のいいところなんじゃないだろうか。
………ああ、でもどうしよう。
紫烏と、2人きりになってしまった。
「久しぶりだね」
「……そうですね」
「敬語じゃなくていいのに」
「あなたがいくつか知りませんから」
「俺?んー…敬語を使われる年ではないね。この意味分かる?」
「………」
右だけ長い紫の髪をいじりながら、イヤらしい笑みで聞いてくる。
ああ、だからコイツは嫌なんだ。まるで、影から操ってますとでもいいたげな、バカにした言い方が。
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