28
すかさずそこを狙う辰巳だけど…残念。避けられて、ムチャクチャに出してきた手が辰巳の腕に当たった。
まぐれとはいえ、結構なパワーと勢いだったな…。
辰巳、辰巳はさ…今どんなことを考えながら勝負をしているの?
オレはさ、弘樹のこと…とか表面で見せておきながら、自分のことを考えていたよ。
負けられない。
情けないとこ見られたくない。
勝って誉めてほしい。
もっと好きになってほしい……そんなことばかり。
いつも、いっつも辰巳のことだけを考えてるよ。
──ガ…ッ!
「っ゙…くそっ」
「……っし。はぁ、No.1だかなんだか知らねーけど…っ…調子のんじゃねぇよっ」
「クッ…のってねぇ…よ!」
手に汗が滲む。
ケガが増えていく辰巳を、本当は見てられないし、止めに入りたい。
……でも、オレが止めてどうするんだ。いや、何よりも2人はきっと、もう止まらない。
ドサッと倒れるキングの上に辰巳が跨り、頬を殴る。
すると次は2人の位置が変わり、同じことがおこる。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!