14 「……キング?」 「テメェ…しつけぇんだよ!」 「そーだぜ総長、もう諦めた方が…」 「っせぇ、分かってる。分かってるけどな、諦めらんねーんだよ…クソッ!」 「…秀司…」 本当に、本当に悔しそうに顔を歪めて悪態をつくキング。 オレ…この人の気持ちが分からないわけじゃない。 オレは今辰巳と一緒だからウザいと思うけれど、もし辰巳がオレ以外の人といたら? 諦めなきゃと思いながら、 諦めきれずにどうしていいか分からなくなってるはず。 だから、邪険にも出来ない。 ああ、でもオレには、辰巳しかいないのに。 「もう一度…今度は俺たちのフィールドで勝負をしてくれ。黒蝶をかけて」 「……それで諦められんのか?」 「負けるとは限らねぇだろうが」 「じゃあ、負けたらきっちり諦めろ。それが条件だ」 「分かった…今度こそ、諦めよう」 「た、辰巳…」 「大丈夫だ、俺を信じろ」 もちろん、信じてる。 信じてないわけじゃない。 でも、わざわざオレのためにそんな勝負するっていうのが申し訳なくて、……でも嬉しくて。 [*前へ][次へ#] [戻る] |