2ー28
「……俺もお揃いで指輪がいいと思ったからそれにしたんだ。…嫌だったか?」
「っ…嫌なわけない!すごっ…嬉、し…っ」
「おら泣くな…つってもお揃いとは少し違うんだがな」
「え…?」
「俺のは、これだ」
そういって胸ポケットから辰巳のだろう指輪を取り出した。
手にとって見てみると、それはチョウで形とられていて。
オレのは犬…いや、狼でリングになっているんだ。
狼とチョウ。
灰狼と黒蝶。
辰巳と…オレ。
「バッ…カァ…!」
「左手、出してみな」
「んっ……シて?」
「っ…アホ、んな言い方すんな」
そういいながらも、優しく、ゆっくりと指輪をはめてくれた。
サイズもぴったりで、まるでこの指は俺のだと狼が守っているようで。
嬉しくて、
凄く凄く嬉しくて、次から次へと涙が溢れてきた。
辰巳は何もいわずにオレの後ろまできてくれて、好きだと囁いて抱き締めてくれる。
チラリと見えたその手には、さっきのチョウがはめられていた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!