2ー10 辰巳にツラい思いをさせたのは、オレ。 それを分かっていながら甘えていたのも、オレ。 辰巳の気持ちをムシしたのも、オレ。 全部全部、オレのせい。 オレが強ければ、 あんなことにはならなかった。 オレがしっかりしていれば、 辰巳で怯えることはなかった。 あ……なのにオレ、まだ辰巳に甘えようとしてる。 辰巳は優しいから。 全部許してくれることを知ってるから。 ああ、なんて最低なオレ。 でも……、 「嫌わ、ないでっ…離れてかな、で…っ、一緒にいて!オレを、オレをずっと守ってよぉ…っ」 「……当たり前だろ。お前を嫌うなんて、ありえねぇ」 「でも、触れないっていったじゃん!嫌だっ、オレはそんなの嫌だ…」 「そ、れは、そういう意味じゃ…」 「………触れてよ。触って、辰巳……オレに触れて?」 「っ…え、いた…」 こちらへ手を伸ばしてきて、でもオレには触れない辰巳。 確かに触るなって始めにいったのはオレだ。あのときは凄く怖くて、それが本音だった。 でも、今も本音だよ? 凄く触って欲しい。 もう一度さっきみたいに抱き締めて欲しい。 オレ、もう、怖くないんだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |