2ー8
逃げた……ははっ、最初は母様、次は学校、その次は辰巳?
何なんだよもう…っ!
「っ…あはははっ!もっ…嫌だ…」
自分が嫌で嫌で仕方ない。
…そんな風に自己嫌悪に陥っていたとき、あの男たちがニヤニヤしながら入ってきた。
これくらいなら相手出来る。
そう構えたときだ、辰巳が現れたのは。
まるで、ヒーローのようだった。
一瞬で片付けちゃうのも、
オレに優しく微笑みかけてくれるのも、全部かっこいい。
だからなんとかお礼をいった。
そしたら……辰巳の顔が一瞬歪んで、
……抱き締められた。
逞しい腕がオレの背中に回る。
怖くてビックリして、思わず引きつった声を出してしまった。
大きく体を震わせてしまった。
「わ、…悪い…」
「ぁ…うう、ん…」
「………もう、しねぇから」
「へ…?」
「もう俺から瑛太にゃ触れねぇから。ごめんな、怖がらせて…ごめんな…」
「た、つみ…?」
何でそんな顔をするの?
無表情なのに、どこか悲しそうな顔。
これ、オレがさせてるの?
オレのせいで、もうそばにはいてくれないの?
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