2ー5
だが瑛太の目は必死で、俺はそれ以上何もいわずに見守ることにした。
教室でやってるせいか、周りの視線が嫌にしつけぇが。
俺の手の、数センチ上でプルプルと震える瑛太の右手。
少し持ち上げりゃ届く距離だが、それをして怖がらせたくねぇ。
ジッ…と堪えて待つ。
──…ちょんっ
「っは……はぁ、触れた…」
「ククッ、よく頑張ったな、瑛太」
「はは…ごめ、今はこれだけ…っ」
「十分だ、…十分」
俺の手の中指と、瑛太の手の中指がほんの少し重なり合う。
久しぶりに感じた熱に体中が熱くなったが、理性をフル動員してそこは堪えた。
「瑛太、偉いぞ」
「っ…え、偉くなんて…!」
「うわっ、ちょ、エータ!?」
「おいどこに…っ」
「トイレッ」
「……ったく、俺見てくるわ」
「あ、おう…」
俺と別れたとバカたちが勘違いしてる今、1人になるのは危険だっつーのに……つかこの前襲われたばかりなんだろうが。
……まぁ、弱いっつっても瑛太なら普通の奴4人は一気にいけるか。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!