2ー3
▼辰巳side
怯えた目は、少しずつだがいつもの強く綺麗な瞳を取り戻しつつある。
だが触れることが出来ねぇっつーのは、結構キツいもんがあるな。
すぐそこでツラい思いをしてんのに、何もしてやれねぇ…。
「瑛太……抱き締めてぇよ…」
この腕で、飽きるまでずっと。
大丈夫だと何回も囁いて、ツラい思いをした分めいいっぱい甘やかしてやりてぇ。
……そうじゃねぇと、瑛太が壊れちまう気がすんだ。
壊れる…つーか俺と出会う前に戻りそう、っつーか。
いつか逃げ出したときみてぇに爆発すんじゃねぇのか…って。
「いや、壊れるのは……俺か…?」
前田と瑛太を見てると、ムリヤリにでもかっさらいたくなる。
前田にも瑛太にもその気がねぇのは分かってんのに、嫉妬で狂いそうになる。
なぁ、何でソイツだけは、お前に触れるんだ?
だったらいっそのこと、ガラスケースにでも入れて俺しか見ることが出来ねぇようにしてぇ。
目が似てるというなら、いっそのこと瑛太の目と交換してずっと触れ合っていてぇ……なんて。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!