26 「死ねっ、死ね…死ねよ…っ!」 「ちょ、え、エータ!も、いいだろっ」 「やだっていった、いったのに…っ」 男たちの顔が紫烏にしか見えなく、その顔を消そうと何発も何発も殴った。 よくcolorsで綺麗にケンカする、なんていわれるけど、このときのオレはそんな様子はなかったと思う。 ぐしゃぐしゃに顔を歪めて、泣きながら殴った。 それはもう、弘樹なんかじゃ止められないほどに。 「オレを見るな、見るな見るなっ…も、付きまとうなよ!!」 「エータッ、エー…ッ!?」 ──ドゴォ…ッ! 「っ、がはっ…!けほっ、はっ、は…っ」 「………みっともねぇこと、してんな」 そのお腹を殴られた音は、男や弘樹からじゃなくオレからした。 息が詰まり、何よりも重すぎるその拳に膝をつく。 手をそこにやりながら誰だと顔をあげると、……そこにいたのは無表情でオレを見下ろしているレイジだった。 認識した瞬間、これでもかというくらい体が震え出す。 [*前へ][次へ#] [戻る] |