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「じゃ、ホントありがとな」


「いや……お前、やっぱ笑ってた方がいいわ」


「えっ?」


「瑛太の目、細められると結構可愛いぜ?」


──チュッ

「んなっ…!?な、な…っ///」



何だよ今のっ!
目尻に音たててキスとかおかしいんじゃないのかっ!?

それにっ……





それに、辰巳だって笑うとかっこいいし結構可愛いと思うんだけどな。

その…狼が犬になる瞬間?
みたいな感じか?



「……俺たちはまだ、ガキだ。ゆっくり一緒に歩いてこうぜ」


「ぁ…うん……って何それ」


「……金鶴さんの受け売りだ」


「やっぱり。アンタらしくないもんな」


「っせ、」



最後に頭を小突かれて、そのままタクシーに押し込められた。
バタンと閉まるドアの向こうでは辰巳がこっちを見ていて……少しだけど微笑んでいて。

オレはなんだかスッキリした気持ちで行き先を告げた。



そしてヘアピンをとって目を隠す。
オレの逃亡劇は一週間ちょいで幕を閉じたけど、これからは新しいショー…いや、オレの新しい人生の始まりだ。

その一歩を今、踏み出した気がする。




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