21 1人で大丈夫じゃないことがないだろうけど、でも聞きたくなった。 俯きながらバカなことを問いかけてみるとククッと笑う声がし、そしてこういってくれたんだ。 「そりゃ何もなかった…つーかちびっこいのがウザかったけど。でも寂しかったぜ?」 「っ、あ…そ、そりゃモテて大変だったようでっ」 「……嫉妬か?」 「し、知らない!」 「っ…クク、」 ああ、もう、そんな嬉しそうに笑わないで。 オレはまだ辰巳を触ることも、ジッと見つめることも出来ないっていうのに……オレの言葉1つで、そんな声出さないで…。 顔は辰巳には見えてないはずだけど、もしかしたら赤くなった耳でも見えていたのかもしれない。 辰巳をまとう空気が少し安心したものになり、居たたまれなくなったオレは自分の部屋に逃げ込んだ。 ……分かってた。 少なからず、…いや、とても辰巳を傷つけ、不安にさせていたことに。 だからいつもと同じ口調で返しただけで、あんな安心してたんだ。 「ぅくっ…ごめん、辰巳…っ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |