20 「すぐ来るってよー」 「あ、そか。…うん」 その言葉通り、辰巳はすぐやってきた。 呼んでおいてまともに顔が見れないとか、オレはどんだけ弱いんだろうか。 それでもすぐそこに辰巳がいてくれて、嬉しくなった。 矛盾、しすぎている。 嫌われてもおかしくないこと、してるのに。 「1人で大丈夫だったか?」 「うん、ゲームしてた、し」 「明日は大丈夫そうか?」 「…どうだろ。…はは、頑張ってはみるけど…」 「おー、ムリはすんなよ」 どこまでも優しい声。 その声をもっとよく聞きたくて、目を瞑って静かに頷いた。 …といっても前髪をおろしてるせいで、目の方は分かってないだろうけど。 それから、主に弘樹が喋ることになってしまった夕飯を終え、食器を片付けてテレビを見てる2人のもとに戻った。 ……うん、その、距離があるのは仕方のないことだと目を瞑ってほしい。 「頬の傷はどうだ?」 「あー…とっても大丈夫、だと思う…」 「そうか、それは良かった」 「た、つみは…?」 「んぁ?」 「辰巳、は…1人で大丈夫、だったわけ…?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |