15 とにかく喉が痛い。 水を飲もうと部屋を出て、キッチンへ向かった。 ……弘樹は寝てんのかな。 辰巳は…部屋、戻ったのだろうか…? 「………あ、」 机の上に置かれたおにぎりに目がいった。 一瞬弘樹が作ってくれたのかと思ったけど、2人分あることから、恐らく辰巳が作ってくれたやつだと思う。 弘樹、夕飯食べてないのか…? お腹も空いてたから、それももらうことにした。 ……夜寝ているときも、1人でいるときも、決して怖いとは思わない。 アイツが付きまとってくるのは…人に触れたときだ。 夜、安心して寝れるのに、 昼、人が怖くて出歩けない。 最悪。 最悪だよ、ほんと…そのせいで辰巳にツラい思いをさせてるんだから。 「好き、なのに…っ…」 こんなにも、こんなにも辰巳を想っているのに。障られることが怖いだなんて俺はヤな奴だ。 ちゃんとオレの好物が握られたおにぎりも凄く美味しくて、でも少しだけ、しょっぱかった。 ねぇ辰巳、 泣いても泣いても、 泣き足りないよ…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |