8 意外と鋭い奴だ。 いや、それほどまでに顔に出ていたのか? どっちでもいいが、このままいると俺までおかしくなりそうだったから、自分の部屋に戻った。 ──『辰巳っ!』 「………瑛太…」 守れなかった、守ってやれなかった、あの笑顔を。 何があっても俺にだけは向けてくれていた、綺麗な笑顔を。 ときに泣きそうなほど儚く見える、不安いっぱいの笑顔を。 初デートだと浮かれなきゃ、こんなことにはなんなかったのかもしんねぇ。 ちゃんと周りに気を張ってりゃ、アイツに気づくことが出来たかもしんねぇ……俺の、全部俺のせいだ。 ……この2日間、瑛太と会話はするものの、目が合うことはほんの数回しかなかった。 ましてや触れることさえもかなわねぇ。 「申し訳ねぇ…っ!」 俺にすら怯えてしまうほどの恐怖を植え付けちまった。 この情けなさと怒りをどうにかしたく、瑛太が寝たあとに夜の街へ出ていた。 ルールを破ってcolorsが…瑛太の戻る場所がなくならねぇよう気をつけながら、これでもかっつーくれぇ暴れまわった。 なのに、このポッカリ空いた心は埋まらねぇ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |