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その時の弘樹の仰天してる顔を思い出して、少しだけ心がラクになった。

けれどそのまま弘樹には近寄らず、自分の部屋へと消える。
辰巳もあとをついてきたけど、オレは布団に潜り込んで小さく丸まった。



「何かあったらすぐ呼べよ?」


「……うん」


「あとコレ…あの日、お前のために買ったもんなんだ。ここ置いてくからな」


「……っ?」


「前田にはうまくいっといてやるから、安心して寝ていいぞ」



それだけいってドアが開いて、閉まる音がした。

コレ、とは何だろうか。
少し気になって起き上がり、周りを見渡すとすぐ目についたものがあった。


イルカの、大きなぬいぐるみ。



「ぁ…っ」



凄く可愛くて、欲しいなとか子供みたいなことを思いながらずっと見つめていたイルカ。

一緒にタクシーに乗ってたこととか気づかなかった。
もしかしたらここに配送したんだろうか?


でも……まさか、気づいてたなんて。
それをオレのために買っていてくれたなんて。



「っ…ふ、辰巳…っ!」



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