25
……もう、会うこともないと思っていたアイツが、今オレの目の前で笑ってる。
危険信号がうるさいくらいに鳴り響いているのに、オレの体は全く動かない。
震えるだけ、情けない…。
「………ついてきて、くれるよねぇ?」
「ぃ…いや、だっ」
「あーそういうこといっちゃうんだ?俺さぁ、わざわざお願いしてやってるの、気づかねーわけ?くっ…クハハ!
…来いよ、大事な狼さんがモーホーでしたーって大声でいわれたくなきゃ、ね」
「っ…卑怯者…!」
「けっこーけっこー。だぁって…俺を陥れた蝶々たちも、卑怯者っしょ?」
グッと腕を引っ張られ、キスが出来るんじゃないかというくらい顔を近づけさせられる。
ここで腕を払って逃げても良かったんだけれど、もし…辰巳のことが本気だったら?
いや、本気だ。
紫烏は外に出て、簡単に叫ぶだろう。
それはダメだ。
オレのせいで冷たい目で見られるかもなんて、絶対ダメだ…っ。
「うん、いー子だね蝶々は。さー行こっか」
「くっ…、」
「俺さぁ、今日ずーっとつけてたわけぇ。てか全く気づかねーってどうよ。colors総長としてヤーバーくーなぁい?」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!