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「……っと、わり、トイレ行ってくるから待っててくれ」


「あ、うん」



水族館の敷地を出る前に中へ戻っていくなんて、不審がられただろうか?


だがそうしたのだって理由はある。水族館のお土産屋に戻り、……この1m近くあるイルカのぬいぐるみを買うためだ。

すげぇ物欲しそうに見てたからな…喜んでくれるといいが。



「瑛太、悪い遅くなっ…た…?」



い、ねぇ…?トイレか?
それならいいが、胸騒ぎがする。

ケータイを手に少し待ってみるか、そう思って座れるところへ移動し、床に落ちてるものに気づいた。


──…さっきのストラップ。



「……た、瑛太…っ!」



* * *



好きな人と、初めてのデートで水族館。なんて…なんて幸せな1日だっただろうか。

薄暗い中で、微かな光を浴びて泳ぐ魚は神秘的だった。
家で熱帯魚を見るなんてものよりも、より多くの種類がいた。


凄く凄く、楽しかったんだ。




多分、

きっと、

初めてだからとかじゃなくて、

辰巳……あなたが横にいてくれたから。



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