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「いってみろ、な?」
「…………水族か、ん…」
「………」
「ごめ、聞かなかったことに…っ」
「んだ…水族館か。もっとヒデェ場所いわれるかと思った…」
県外とか、もっと大人がいくようなとことか、か?
だが照れながら呟いた場所は水族館。
隠すような場所でもねぇのに。
「んじゃ、行くか」
「え、いいの?嫌じゃない?」
「何で嫌だって思わなきゃいけねぇんだよ」
「……子供っぽい、とか…」
「おま…んなこと気にしてたのかよ…」
ったく、どうすりゃそういう考えに行き着くのかが不思議だっつーの。
つい吐いた溜め息に瑛太は体を強ばらせ、小さく謝ってくる。
だからよ、そんなネガティブになるなっていってんのに…。
「行くぞ、立て」
「うわっ、た、辰巳…っ」
「最っ高に楽しい水族館デートにしてやる。…だから来いよ」
「っ…うん!」
……話を聞けば、瑛太は行ったことがねぇという。
水族館も、動物園も遊園地も、そういう場所には連れてってもらえなかったと。
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