15
他愛もない話をして、目についたお店に入って。繋がれた手は離れてしまったけど、辰巳と笑いあえるこの時間は何よりも幸せで。
オレは…オレたちは、"見られている" ということすら気づけなかったんだ。
「……ね、辰巳が服選んでくれない?」
「俺がか?」
「うん。今日だってスッゴい悩んでさぁ…もう辰巳の選んだ服持ってた方が早いかなって」
「てめ…ラクしたいだけだろ」
「へへ、バレた?」
「……ったく、ちょっと待ってろよな…」
頭をガシガシとかいて、文句をいいつつも服を見にいってくれる辰巳に、思わずキュンとする。
でも選んでもらうだけじゃ悪いから、オレも辰巳の服を選んでみることにした。
互いに服を渡して一緒に試着し、せーので見せ合い誉めあう。
端から見たらバカじゃないのっていいたくなるくらい笑いあって、結局何も買わずに店を出た。
「ゲ、あの店だけで結構時間食ったな…」
「え、今何時?」
「もう1時半だ」
「うわ…2時間近くはいた?お昼にしよっか」
「だな、腹減っちまった」
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