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他愛もない話をして、目についたお店に入って。繋がれた手は離れてしまったけど、辰巳と笑いあえるこの時間は何よりも幸せで。

オレは…オレたちは、"見られている" ということすら気づけなかったんだ。



「……ね、辰巳が服選んでくれない?」


「俺がか?」


「うん。今日だってスッゴい悩んでさぁ…もう辰巳の選んだ服持ってた方が早いかなって」


「てめ…ラクしたいだけだろ」


「へへ、バレた?」


「……ったく、ちょっと待ってろよな…」



頭をガシガシとかいて、文句をいいつつも服を見にいってくれる辰巳に、思わずキュンとする。

でも選んでもらうだけじゃ悪いから、オレも辰巳の服を選んでみることにした。


互いに服を渡して一緒に試着し、せーので見せ合い誉めあう。
端から見たらバカじゃないのっていいたくなるくらい笑いあって、結局何も買わずに店を出た。



「ゲ、あの店だけで結構時間食ったな…」


「え、今何時?」


「もう1時半だ」


「うわ…2時間近くはいた?お昼にしよっか」


「だな、腹減っちまった」



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