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「あっ、いけな…!行ってくんねっ」
「おー楽しんでこいよー」
見送ってくれる弘樹に手を振り返し、急いで寮の入口へ向かった。
ほんとは待ち合わせからやってみたかったけど、生憎なことに住んでる場所は同じ。
だからせめて、寮の前に集まろうということになった。
そこに行くまでに何人かの視線が突き刺さる。特に首とお尻あたりを集中して見られ、吐き気がしてくる。
……けどね、辰巳のことを思うと、ドンドンどんどんテンションがあがっていくんだよ。
「っ……辰巳!はぁっ、お待たせ」
「走ってきたのか?ゆっくりで良かったのに」
「だって、時間もったいないでしょ?ね、早く行こうよ」
「ああ、そうだな。……っと、瑛太、今日はまた一段と…可愛いぜ」
「っ──/// ば、バカッ」
踏み出した足を止めて振り返ったと思ったら、耳元で低く囁かれて思わず耳を真っ赤にしてしまう。
そりゃ、誉められて嬉しいけどさ…何も耳元で囁かなくてもいいじゃん。
アレ、わざとだよ絶対。
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