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「……瑛太?」
「ごめ、なんでもない…2人ともこっち見ないで…っ」
「おーいどした?…耳まで真っ赤だぜ?」
「っ、うるさい弘樹!辰巳もニヤニヤするなっ」
「エロいことでも考えたか」
「ちが…っ!」
そうじゃない。
ただ…自慢の彼氏を持ててなんて幸せ者なんだ、そう思っただけ。
みんなが羨むカップルになったんだ、そう思っただけ。
「……はっ、嘘だ嘘。さっさと学校行くぞ」
「っ…分かってるし」
オレはきっと、一生辰巳に、適わない。
◆
『…今度の休み、出掛けるか』
『え?うん、いいけど…』
『んだ、もっと喜べよな。初デートだぜ?』
『はっ、初デ、ト…ッ!?え、デ、デートなのかっ?』
『嫌か?』
『っ──嫌じゃない!行く、オレ行くっ』
今まで一緒に出かけていたのに、想いを告げただけでそれがこんなにも特別になる。
誘われたときはグッとこらえたけど、ホントは嬉しくて泣きそうだったんだ。
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