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盛大な舌打ちをしてレイジはここから去っていった。
途中まで辰巳はその背中を睨んでいたけど、突然オレの方を向いて手を伸ばしてきた。
──ビクッ
「っ……う?い、いひゃい…」
「……瑛太、俺を信じろ」
殴られると思って目を瞑ったけれど、辰巳の手はオレのほっぺを摘んだ。
地味に痛いけど、辰巳の真剣な目とその言葉の方がとても痛くて、重い。
オレは目を伏せて辰巳の手をそっととり、少し震える声で思いを告げた。
「信じてないわけじゃ…ないんだ。いつもいつも守ってくれて、これからもそうしてくれるっていうのは、ちゃんと分かってる」
「なら…」
「それでもね、オレも辰巳を守りたい。辰巳を傷つけたのがオレのこの手だとしたら、狂っちゃいそうだ」
「……はぁ、俺はどんな瑛太も好きだけど…そのネガティブ思考だけは何とかしろよ?」
「ぅ…仕方ないだろっ」
育ってきた環境が悪いんだ。
オレを助けた辰巳が悪いんだ。
ちょーっと膨れて辰巳を軽く睨みつけると、ふっと優しい目で笑われた。
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