15 ……辰巳は、一目見たときは凄い怖そうな奴だと思った。 グレーの髪も印象的だったけど、何よりも目が……鋭かった。 鷹か、狼か、蛇か。 とにかく鋭く、正直怯んだ。 でもよく見れば男前で、背もなかなか高い。羨ましい容姿だ。 ──ジャー…ッ 「……あ?おい…何してんだ?」 「へっ?……あ、洗い物。勝手にいじっちゃまずかったか?」 「いや、んなことしなくていいのによ」 「これくらいさしてよ。じゃないとオレの気が済まない」 今は夕食の後片付け中。辰巳は置いときゃいいっていうけど、そうはいかない。 ただでさえ世話になってるんだ、これくらいのお礼はしないと。 っつーか辰巳の家もシングルマザーらしくて…でその母親がお水の仕事をしているらしい。 昼間は寝て、夜は早いうちにいなくなる。帰ってくんのは早朝だ。 だから…実はオレ、会ったことがない。辰巳も合わせるつもりないらしいしな。 「それに、アンタやらないだろ」 「………まぁ、な」 「オレは学校も行ってないしさ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |