29
傷は男の勲章、そう教えてくれたのは辰巳だ。
こんな傷1つで辰巳の命を救うことが出来た、それはオレの凄い誇りなんだよ?
なのに、いっつもツラそうな顔して…オレがしたことは間違いだったみたいじゃんか。
「この傷、オレ作れて良かったよ?じゃなきゃ後悔の方が大きかった。オレ、本当になんとも思ってないんだ」
「だからってあんな真似、二度とすんじゃねぇ!」
「しない…しないから、もう悲しまないでよぉ…」
「……え、」
「タッツー気づいてねぇの?エータの傷見るたび泣きそうな顔してんの」
「あ…わ、わりぃ。そんな顔してたか?」
自分の顔を触りながらもう一度謝り、オレの傷を確かめるように指でなぞる。
ほら、だからその顔とか行為だって。
「次!この傷を気にしたら嫌いになるからっ」
「あ゙?!なんだソレッ」
「それくらい、この傷はオレの一部ってこと!ね、弘樹っ」
「へぁっ!?お、おうっ」
「……クッ、はは、そっか。俺の思い込みすぎか」
「っ……う、うん」
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