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「ん……」


「っ…瑛太!おい、分かるかっ?」


「カ…辰巳? も、家…?」


「俺の家だ。…頬、痛むか…?」



とてもツラそうな顔をして、触れるか触れないかのところをそっと撫でてくる辰巳の手。
まるで割れ物を扱うかのようだ。

ゆっくり体を起こすと右頬に強烈な痛みが走り、反射的にそこを手で押さえた。
触れるこれはガーゼだろうか…?



「バカヤロウ…なんで飛び込んだりしたんだ!せっかくの顔にこんなデケェ傷…」


「ひっ、…ご、ごめ、なさ…」


「わざと残らしたって分かってたんだろ!?何で来たっ、何で庇った!」


「わ、かってた…分かってたから行った!いったじゃん!オレは守られてばかりは嫌なんだっ…っぅ゙」


「瑛太…っ?」



口を大きく開くと傷に障る。
痛みに泣きそうになるのを堪えて、ちゃんと辰巳に話がしたかった。


この傷は、自分のせいで出来たものなんだと。

この傷は、オレの勇気の証なんだと。



「……とにかく、オレはオレのしたいようにしただけ。オレ、辰巳を守れて良かったと思ってるよ?」


「こっちは心臓が止まるかと思ったんだぞ…」



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