27
「ん……」
「っ…瑛太!おい、分かるかっ?」
「カ…辰巳? も、家…?」
「俺の家だ。…頬、痛むか…?」
とてもツラそうな顔をして、触れるか触れないかのところをそっと撫でてくる辰巳の手。
まるで割れ物を扱うかのようだ。
ゆっくり体を起こすと右頬に強烈な痛みが走り、反射的にそこを手で押さえた。
触れるこれはガーゼだろうか…?
「バカヤロウ…なんで飛び込んだりしたんだ!せっかくの顔にこんなデケェ傷…」
「ひっ、…ご、ごめ、なさ…」
「わざと残らしたって分かってたんだろ!?何で来たっ、何で庇った!」
「わ、かってた…分かってたから行った!いったじゃん!オレは守られてばかりは嫌なんだっ…っぅ゙」
「瑛太…っ?」
口を大きく開くと傷に障る。
痛みに泣きそうになるのを堪えて、ちゃんと辰巳に話がしたかった。
この傷は、自分のせいで出来たものなんだと。
この傷は、オレの勇気の証なんだと。
「……とにかく、オレはオレのしたいようにしただけ。オレ、辰巳を守れて良かったと思ってるよ?」
「こっちは心臓が止まるかと思ったんだぞ…」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!