2ー15
そりゃ多少は重力がかかって肩と足にきたが、瑛太が無事ならなんてことねぇ。
むしろ、俺を信じて飛び込んできたことが最高に嬉しいじゃねぇか。
マヌケ面のシロと呆れ顔のレイジに中指を立て、俺らはそこから逃げ出した。
今度はちゃんと手をとって、な。
* * *
──ドクン、ドクン…ッ
まだ、心臓がドキドキいってる。
あの逃走劇から結構な時間が経ったけれど、あれを思い出すとすぐに体が熱くなる。
3階から飛び降りて、辰巳に抱きとめられるなんて…っ。
「おい…大丈夫か?」
「っあ…うん。なんか逃げる人、減ってきたよね…」
「時間もそれなりの時間になったしな。目立つ行動はヤベェかも…」
「鬼が有利になってきた…」
「ああ、T-cardsに見つかりやすくなった」
それは困る。
なるべく物陰へ、そんな逃げ方をしていたけれど…見つかるものは、見つかるもんだ。
ああ、もう、これ以上辰巳に迷惑かけたくないんだけどな…。
「やっと見つけた。秀司が死に物狂いで探してたよ?」
「どけ、クイーン」
「……不思議だね、鬼が人間を守るなんて。リボンとって体育館にいた方が安全だろうに」
「んなこたぁ分かってる」
始めの予定では、オレも弘樹も鬼だった。けれど逃げ切れた場合、リボン20本分のポイントをゲット出来ることを知っちゃったんだ。
だから辰巳は鬼になってリボンをたくさん奪い、オレと弘樹は生き残って大量のポイントをゲットしよう。
みたいな話になったわけ。
じゃなきゃオレだってこのリボン、辰巳にプレゼントしてる
「………弘樹、どうなった…?」
「気になる?……捕まったよ。この僕に、ね」
「チッ、やっぱてめぇか。前田も災難だなぁおい」
「知ってた?あとは黒蝶だけ…ってこと」
「え…嘘っ」
「他全滅かよ…」
どうりで逃げる人を見かけないわけだ。
捕まえようとジリジリ近寄ってくるクイーンから、辰巳は前に立って庇ってくれる。
そんな姿もかっこいい。
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