2ー14
瑛太を逃がしてこんな会話を少しし、キングはそこから去っていった。
確かに勝負はまだ決まってねぇ。生徒会が鬼っつーのは少々厄介だ。
この俺に渡してくる奴がいるんだ、あいつらも相当な数もらってんだろうしよ。
「………瑛太、逃げ切れてるか…」
瑛太だってダテにcolorsの幹部として2年もやってきてねぇ。
何よりも逃走術をこれでもかってくれぇ仕込んできてる。
大丈夫だろうが…やはり心配だ。変な奴らに襲われてなきゃいいが…。
◆
それからしばらく、瑛太を探すと同時にリボンを奪いに走り回った。
そしてやっと見つけた。
校舎の3階、シロに追いかけられてる瑛太を。
……が、そのまま下に降りてくるかと思いきや、瑛太は階段を通り過ぎてドンドン奥へ逃げていく。
俺もそれを下で追いかけながら校舎の端までやってきた。
この高さはギリギリ…か。
「……っ、瑛太、こっちだ!!」
「え…っ、辰巳!」
「飛べ、瑛太!」
「とっ…また飛べって、オレは人間だっつーの!」
「ギャハハ、灰狼はバカだったんスか!」
チッ、バカにいわれたかねぇな…。
だがこれしかねぇ。
俺が来たことでレイジの野郎も少し気を張ったしな。
………たかが鬼ごっこだが。
「捕まりてぇのか…っ?」
「や…ヤダ!でもムリ…ッ」
「……俺を信じろ、しっかり受け止めてやる。来いっ!!」
「っ…あーもー…ちゃんと受け止めてよね…!」
「げぇ、マジっすか!?」
「ここ3階だろ…っ」
大きく手を広げた俺に向かい、若干投げやり気味に瑛太が3階の窓から飛んできた。
ふわっと流れる黒髪。
本当は一瞬のはずなのに、ゆっくり落ちてくるように見えるその姿。
つい、息を飲んだ。
鳥籠から飛び立つ鳥のようだ。
俺のもとへ、羽を休めようとおりてくるチョウのようだ…と。
とにかく、綺麗だった。
──ガシッ
「っ…ぅあ…!」
「ははっ…さすが瑛太」
「ば、バカ…ッ、重かったでしょ…?」
「いんや、ほら逃げるぞ」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!