2ー13
逃げるのは、弱い奴のすることだ。
…なんて、中にはそう思う人がいるかもしれない。
でもオレはこの学園から逃げて辰巳と出会い、今スッゴく楽しい毎日を送っている。
それに、立ち向かうよりも逃げる方が周りの人を安心させることもある。
オレ自身も、時と場合によってはちゃんと逃げるようにしているし。
「まーさか1人でいるとは思わなかったッス!さぁ、観念するッスよ!!」
……今みたいな状況も、即逃げるべきだと思うんだよねー…うん。
「怜治さん!自分が捕まえるッスから怜治さんは休んでて下さいっ」
「……っせぇ、早く行け」
「は、はいっ!ご期待に応えてみせるッスー!!」
「ぅ、わ…っ、来るな!」
「怜治さんのためにも潔く捕まるッスよ…!」
3階の廊下でバッタリ会ってしまったレイジとシロ。
見かけた瞬間すぐ走り出せば良かったんだけど、つい足を止めてしまったんだ。
途端レイジのためにといいながら、自分が誉めてもらうために向かってくる犬…猪のようなシロ。
慌ててオレもそこから逃げ出した。
怖くはない。
怖くはないけれど、しつこいから嫌だ。
「れーじさーん、見てるッスかー!?」
「………」
「っ…ほん、とっ…犬なんだな…っ」
「うるさいッス!こくちょ、くらいなら自分にも…っ…捕まえられる、ッス!」
………しまっ、階段を通り過ぎてしまった。
そのまま走って行けば突き当たりで逃げ道はなく、オレと同じく息を切らしたシロが今度はジリジリと追い込んでくる。
ここは3階だし、窓から飛び降りるのはムリ。
シロを越えることは…多分出来るだろうけど、その後ろにはやる気のなさそうなレイジがいる。
どうしよう、辰巳…オレはまだ捕まりたくないよ…!
「……っ、瑛太、こっちだ!!」
▼辰巳side
『あ゙ーくそっ!逃がしたか…』
『いい加減諦めんだな』
『いいや、まだ勝負は決まっちゃいねぇ。……に、しても…さっきのムービー撮っときゃよかったか』
『……アホか』
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