2ー12
「ふっ、そのままそこで待ってろよ…」
「あ…っ、え…」
突然のことにオレの足はゆっくりになってしまい、追いかけてきていたキングとの距離が縮まってしまった。
このままじゃ捕まる。
辰巳に、迷惑をかけてしまう…!
逃げなければ、そう思った瞬間オレの足はスピードを上げていて、辰巳に向かって一直線に走っていた。
──ダンッ…グイッ!
「っ、と…辰巳!」
「そのまま逃げろっ!後で探してやるから、んな不安そうな顔すんな」
「ご、ごめ…っ、また後でっ」
「あ゙、待て…っ、マジかよ…」
辰巳とは別れてしまったけど、キングからは逃げることが出来た。
そのまま校舎の中に入って、辺りを見回しながらゆっくり逃げる。
早く、
………早く辰巳と合流したいな…。
『お、おいっ、あれ黒蝶じゃね?』
『ああ、1人だぜっ』
『……行くか?』
「はぁ…っ、最悪…」
『チャンス、だしな』
『クク、ずっと話しかけてみたかったんだよなぁ』
どうしてこう…オレ1人になると狙おうとか考えるんだろうか。
オレになら勝てるとか、そう思ってるんだろうか?
ただの不良相手なら2人や3人、なんてことないんだけどな。
でも関わらないにこしたことはない。
少し早足で階段の方まで向かい、姿が見えなくなった瞬間、一気にスピードを出して上にあがった。
『ヤベッ、どっち行った!?』
『つかはえ…!』
お陰様で、なぜか逃げることだけは上達しましたんで。
……しょうがないじゃんか。
辰巳たちがそっちの方をしつこく教えてくるから仕方なく、だし。
「あんまり走り回るのもな…」
それだと疲れるけど、ここに突っ立ってるわけにもいかない。
そういえば弘樹はどうなったんだろう…そんなことを思いながら、オレは校内を隠れながら逃げることにした。
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