2ー11
『手ぇ出したら殺されるぞ!』
そんなことをいっていた気がする。だから大丈夫で、一緒に逃げようって話になったのかな…。
オレもcolorsの幹部なんだけど。
でも、
「楽しいなー…」
「んぁ?」
「鬼ごっこっていうのは別にしてさ、こうして辰巳と遊んでることがスッゴい楽しい」
「いつもcolorsで連んでんだろ」
「そうだけど…学校でさ、学生として、じゃん」
それが、嬉しい。
それが、楽しい。
colorsのカイとチョウとはまた別って感じがして、オレのテンションはどんどん上がっていった。
ちょっと先へ駆け出して後ろにいる辰巳を呼んだり、人を見つけて辰巳に教えたり。
てか捕まえに走るとき、オレも行かなきゃいけないんだね…疲れる。
ま、中には自分から渡しにくるバカもいたけど。
うちのクラスもそれで何人かはすぐリタイアだろうな…。
「っ……見つけたぜ黒蝶!」
「…ゲ、キング」
「チッ、うぜぇのが来たな…」
「ククッ、さぁ…そのリボンを渡してもらおうか」
なぜだろう、キングが悪代官に見えてきた。辰巳もそう思ったのか、キングには聞こえないくらい小さな音で喉を鳴らしていた。
ああ、それにしても…余裕な表情の辰巳の横顔、かっこいいかも…。
「瑛太、走るぞっ」
「あっ、うん…!」
「チッ、待て!」
「そこ左に曲がれっ」
オレが先頭を走って、
そのすぐ後ろを辰巳が走って行く先を指示する。
…で、その少し後ろをキングが追いかけてくる。
それを見た奴らは道を開けたり写真撮ったりと様々だったけど…そんなに凄い図なのかな。
「……チッ、相変わらずしつけぇな…」
「はぁっ、…バカ、だし…っ」
「ククッ、あぁそうだな。仕方ねぇ…」
「え…たつ、みっ?」
「………飛べ、瑛太!」
えぇえーーっ!?
突然オレの前を走ったと思ったら、校舎に背を向けてバレーの構えのように手を組んだ。
そこの上には2階のベランダが。
飛べってそういうこと…!?
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!