2ー5
…それからしばらく攻防戦が続き、次の一点で決まるというとこまできた。
2人とも疲れて息があがってるとこを見ると、どっちが有利とかそういうもんは無さそうだ。
(次…次で決まる…っ)
アイツ…。
「瑛太!……負けていいから、楽しめよ」
「ぁ…お、オレが負けるわけないし!アンタはそこで見ててよね…っ」
「ああ。早く…戻ってこい」
「ふふっ、いきますよ…!」
クイーンからのサーブにしっかりと返す瑛太。その顔は疲れきってはいるが、先ほどのようなプレッシャーは感じらんねぇ。
右へ左へと揺さぶり揺さぶられ、瑛太の打ったボールがクイーンのラケットの枠に当たり、上にあがった。
──チャンスだ
いいポジションでグッと踏み込む。
バネのようにあがった体に、振り下ろされる腕。
今までのどの球よりもそれは速く、クイーンの横を通り過ぎていった。
『ゲームセット、優勝は3ー2、高見澤瑛太!』
『『うぉおお!!』』
「ナイスエーターッ!!」
「……あー…完敗かぁ…」
いい試合だった、と握手を交わす2人。そして満面の笑みで瑛太が俺の方へ駆け寄ってきた。
もちろんそれをしっかり受け止めてやり、強く抱き締めてやる。
他の奴が見てようが関係ねぇ。
燃え上がる炎は、んな簡単には収まんねぇだろ?
* * *
「……った、勝ったよ、オレッ」
「ああ、おめでとう瑛太」
「み、見ててくれた?オレ、ちゃんと勝てたよ…?」
「見てたに決まってんだろうが…」
かっこいい笑顔でそういってくれた辰巳の顔が、近づいてきた。
勝てたことが嬉しくて、
辰巳に見ててもらえたことが嬉しくて、
抱き締められてることに少し興奮していたオレは、それを受け入れるために目を瞑る。
──チュ…ッ
「んっ…んぅ、」
一度合わさったソレが離れる。
次がくるからその間に少し口を開けて待つと、そこに熱い舌が入り込んできた。
背中に回してる手に、少し力を入れる。
「っあ、ン…ふ、たつ…ンッ、ぅ」
「はっ…え、たっ」
「んん…っ、ふぁ、…ふぁぁ」
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