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「どうだったんだ?」
「勝ったよ、もちろん。そっちは?」
「余裕だな。おら、今だって…」
「くっそー悪い!俺の力不足だ…っ。次は勝つから力合わせて頑張ろうぜ!」
『『山上…!』』
「試合中ずっとあんな感じだ。いい奴だが…シロ並みにうぜぇ」
うん、2人は結構似た者同士だとオレも今、思ったよ。
それから何回か試合があったけど、午前の部は無事全勝で終わった。
お昼もしっかり食べて、いよいよ決勝だ。
◆
まずはバレー。
あの会長のオーラにやられたのか、本当に強かったのか、3ー5が優勝をしてしまった。
そして次はバスケだ。
オレたちのクラス、3ー2対キングたちのクラス、3ー5での決勝戦。
周りは2チームの総長の試合というのもあって、人と熱気で溢れている。
「これで俺らが勝てば黒蝶、お前は俺のものだ…」
「触んないで。勝つのは辰巳だし」
「そうだ、触るな。……瑛太、そこでちゃんと見てろよな」
「うん、頑張って。弘樹も、ケガしないようにね」
「お、おう…っ」
というか、2人の争いに巻き込まれないように、なんだけど…大丈夫かな。
今の弘樹はとっても小さく見える。
ちょっと可哀想…。
けれどそんな心配で何かが変わるわけでもなく、ゲームは始まった。
オレは真ん中あたりに位置する得点板のそばに立ち、ただひたすら辰巳を目で追い続けた。
「チッ、いかせねぇ!」
「……いい加減気づけ。お前にゃ瑛太の横に立つこては出来ねぇんだよ」
「はぁ?!」
「出来ても、ただ突っ立ってることだけだ」
ダムダムとボールを鳴らしながら、辰巳は目の前に立ちはだかったキングを睨み付ける。
何か話してるようだけど、オレのところまでは聞こえなく、ピリピリした空気に少し息苦しさを感じた。
ああでも…辰巳の方が、やっぱかっこいいな。
キングも美形だけど、辰巳には負けると思う。辰巳のあの赤メッシュ、実はオレ、大好きなんだよね……って何いってんだろ。
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