22
明日はもう体育祭、という今日まで時間が過ぎるのはあっという間だった。
ただ、その…紫烏のことでキングが勘違いをして、毎日会いに来るのがウザいんだよね。
なれ合うつもりはないのに、近づいたとか勝手に思ってる。
………勝手に、ね。
実はオレも勝手に辰巳のそばにいていいとか、思ってるだけだったりして…はは。
「約束忘れてねぇだろうな」
「ああ、こっちは俺に瑛太に前田。負ける気がしねぇな」
「え゙、タッツー俺も入っちゃってるし!」
「こっちは美鶴と俺だけだ…が、まぁいいハンデだな。前田がどこまで出来るかだが」
あ、弘樹が間に挟まれた。
……ご愁傷様。
あとはレイジと、侮れない会長のいる1組も注意。
ジャックとシロは2ー6で一緒だけれど…協力ってするのかな?
他は多分大丈夫。
「待ってろよ黒蝶」
「全校に情けない姿見せる前に逃げてもいいんだよ?」
ちょっとバカにするように鼻で笑って、オレを見下ろしているキングを睨む。
……けど、やっぱり効果なし。
何でかオレが睨んでも、みんな怯んでくれないんだよね。
ちょっとツリ目だとか、目つき悪そう、なんていわれるくせに。男として悔しい。
辰巳の、狼みたいな鋭い目が少し羨ましい。
「おいこら、瑛太」
「うわ…っ、な、なに?」
「あんま見てんな。瑛太の大事な目が腐るだろ」
「あ…ごめん」
(やっぱ2人ともひでぇ!)
後ろから手で隠されて、そのままクルッと後ろを向く。
睨み合ってたキングじゃなくて辰巳が見えて、なんだか得した気分だ。
後ろでゴチャゴチャいってるのが聞こえたけど、そこらへんは2人で無視を決め込んだ。
それで夜、夕食も終えて、辰巳はオレたちの部屋に遊びにきた。
……作戦会議?
「前田は運動神経、いいのか?」
「タッツー…体育で俺の何見てたの」
「見てねぇよ、てめぇなんか」
「……あ、サイですか」
「弘樹は普通よりちょっと出来るくらいだと思うけど?」
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