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「……さぁな。もう切る」


『あ?情報やったんだからそっちも渡せよ。報酬払わないとダメだろー?』


「………」


──ブチッ



とんとん、と肩を叩かれた。
目を開けて耳を塞いでいた手を離し、辰巳を見るとどうやら電話は終わったらしい。

最後はどんな話をしたんだろう…オレのこと、なのかな…。



「アイツ…やっぱ外すべきだな」


「……オレ、嫌い…」


「俺もだ。相っ変わらずムカつく野郎だ…!」


「なに…いってた?何で紫烏は、知ってんの?」


「多分個人で瑛太のこと調べたんだろ。…でも、俺の居場所までは知られてなかった」



よく分かんねぇ。
そんな顔する辰巳に、オレもちょっと考えみる。


……うーん、オレのことを知ってて辰巳のことを知らないってことは、それを調べたのは一週間は前、かな。

じゃあほんとに、何で今?
そのときに紫烏は何もしなかった…よなぁ。



「……瑛太」


「え?……わっ」


「お前は考えなくていい。俺のことだけ考えとけ」


「は…っ、はぁ!?アンタッ、バカじゃないの!?」



眉間にあった辰巳の手をどけて距離をとる。
別にバカとは思ってない。それを嬉しく思うオレの方がバカなんだから。

でもサラッといってしまう辰巳が恥ずかしかったんだ。
ニヤニヤしてる顔、絶対バレてるし…。



「もー…ちょっと頭冷やしてくる」

ついでに火照った顔も。


辰巳が来てからサボることも多くなったな、なんて思いながら踵を返したとき、
綺麗に出来た道なのになぜか人にぶつかった。

下見てたオレ、最低…。



「ごめんなさ…あ?」


「惜しいなぁ…これが弘樹くんだったら嬉しかったのに」


「クイーン…」


「1人?灰狼はいない?」


「……何だ」



ガルルッと牙を向ける辰巳。
力ではかなわないと分かっているからか、クイーンは両手をあげて困ったような笑みを見せた。

これで族に関わってなければ、綺麗でいい人なんだけどな…。



「ちょっと話があるから、放課後生徒会室にきてくれる?強制ではないんだけど…大事な話ではあるんだ」




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あきゅろす。
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