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辰巳の眉間にシワがどんどん寄っていく。注意したいけど、辰巳に声を出すなといわれてるから静かにしておく。
オレだってアイツに何かいわれるの、嫌だもん。
「はぁ…悪かった。今日はどうしたんだ?」
『んーまぁ、それでいっか。じ・つ・はぁ…それがぁ…』
「………」
『うわ、つまんね。あーもーいいや。あれ、あのー…トランプたちに蝶々の居場所バレたっぽい。ま、ご愁傷様』
「は!?」
『大変だよねー蝶々。キングに狙われてるからとって喰われるかも。キャー大変!』
どういうこと…?
確かにT-cardsにはバレてるけど、なんかおかしい。
それを伝えるタイミングも、
オレの居場所を知ってるということも、なんか全部が。
辰巳のことは知らないのか…?
(アイツに学校教えたのか?)
(まさか。辰巳にもいわなかったのに)
目でそう会話をする。
紫烏の奴、独断でオレのこと勝手に調べた…?
ああ、なんか、
……気持ち悪い。
『……なぁ、わざわざ教えてやってんのに聞いてんの?お耳は大丈夫ですかー?』
「…悪い。なぜ、そうだと?」
『あっれ、狼さんもしかして知んないの?ククッ、蝶々とトランプって同じ学校なんだぜ?あー教えてもらってなかったなんてなぁ』
「んじゃ、何で今頃?」
『さぁ、んなこと本人たちに聞きゃいーだろ。あー蝶々の初めては俺って決めてんのになー危なっかしいし』
──ゾワッ
もう、嫌だ…っ。
聞くんじゃなかった。
耳にこの人の声がまとわりついて気持ち悪い。怖い。何がしたいのか分からない。
オレはケータイから耳を離して両手で塞いだ。ここにはいないって分かってるけど、目も瞑って視界をシャットアウトした。
早く、終わって。
「てめぇ…何でチョウの居場所知ってんだ」
『あら、ヤキモチー?やぁねーあたしを誰だと思ってんのかしら。……情報屋舐めんなよ』
「勝手に調べるな。お前は他のチームの情報さえもってくりゃいいんだ」
『うわ、んなこといってるともうあげないよ?クッ…はは、そーだぁ。狼さんは学校辞めて何してーんの?蝶々にはちゃんと教えてあげたー?』
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