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体育祭。
10月の終わりに2日かけて行われるイベント。

1日目は球技大会で、特に運動が得意でないオレとしては嫌な行事。
2日目の鬼ごっこは…どうでもいいや。狙われるわけでもなかったし。

でもそのあとのハロウィンパーティー…あんまり好きじゃない。だから、オレは体育祭が嫌いだ。



「………へぇ…楽しそうじゃねぇか」


「…そう?」


「ああ、瑛太と行事参加って考えるだけで楽しみだ」


「っ…じゃあ、オレも…」



そっか、今年は横に辰巳がいるんだ。ああ現金だな、そう思っただけで嫌いなそれが好きになりそうだ。


そんな気持ちが知らず知らず顔に出ていたのか、周りがまた騒がしかったけど。

……あ、それだけじゃない。



「よぉこくちょ…ってどこ座ってんだ」


「また来たのかてめぇ…」


((しゅ、修羅場…!))

「おい、黒蝶」


「……何?アンタには関係ない」



オレの座ってる場所。
イスに座った辰巳の左足。


辰巳が座れっていったから座った。……ちょっと、その、恥ずかしいんだけれど…。

腰には辰巳の手が回ってて、オレが体重をかけても何もいわない。というより…よくあることだったりするし。


今更怒るキングがよく分からない。



「で、何なんだ。ここまで邪魔しに来やがって」


「黒蝶に会いに来た、それだけじゃいけねぇのか?」


「ああ」


「………」



ふっ、間抜け面。
辰巳がいいよ、なんていうわけないのに。



「……今度の体育祭、勝負をしねぇか?」


「あ゙?ケンカなら受けて立つぜ?」


「まさか、ここじゃ出来ないの知ってるだろ?だから…クラス優勝で、勝敗を決めようじゃねぇか」


「……辰巳、受けるの…?」


「ん?もちろんだ。このオレが負けるわけねぇしな」


「……うわ…」



かっこいい。
笑顔でオレの頭を撫でながら勝負を受けた辰巳。

うん、辰巳が負けるわけないね。


だから余裕の笑顔でキングを見たんだけれど、どうしてこう…人を巻き込もうとするんだろう。



「こっちが勝ったら黒蝶、もらうぜ?」


「あ゙あ゙!?」


「じゃあな、体綺麗に洗って待ってろよ」



──チュ…ッ



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