3 「そっか、よかったなタッツー来てくれてさ!」 「………あげないから」 「ん?何かいったか?」 別に…。 そう呟いて弘樹と部屋を出た。 前髪がないだけでこんなにも景色がちがく見えるなんて。 暗かった学校に明かりがついたようだ。 「お待たせ辰巳」 「おっすタッツー!」 「……おー」 眠そうに片手をあげて応える辰巳は、同じ制服を着てるとは思えないほどかっこよかった。 あ、オレの贔屓目ではない…はずだから。 軽く腰パンにしたズボンは足の長さを隠さず、いい感じにダボッとしている。 このダボダボ具合、他にない。 まだ暑いってこともあってか、Yシャツ一枚だ。 第2ボタンまで開けているそれはどこか…その、色っぽい…? 「………瑛太」 緩く結んだネクタイを胸ポケットに入れてるのも辰巳らしいや。 でも何だろう…あまりここではして欲しくない格好かもしれない。 「瑛太っ!」 「……わっ、え?」 「ボーッとして大丈夫か?ねみぃなら休めよ」 「ぇ…え、オレそんな止まってた?」 「うん。つかタッツー見てた?」 うわぁあ…恥ずかしい。 パッと見て一緒に食堂に行くつもりだったのにな…大声出されるまで見てたって、オレが変態みたいだ。 赤くなった顔を隠すように俯いて、一緒にエレベーターに乗り込んだ。 だけど今度は辰巳がオレを見てきて…。 「…ど、どうかした?」 「お前、どこの優等生だ」 「え?……あ、いやこれは…」 オレの今の格好。 上まであげたズボンにネクタイ。10月に入ってオレ的には寒くなってきたからブレザー。 確かに今までは真面目くんできたからよかったんだけど… やっぱ、変かも。 「おら、こっち向け」 「……ん」 (うわー…俺アウェー!) 辰巳の方を向くと、自分のしたいようにオレを弄りだした。 ズボンは辰巳ほどじゃないけど少し下げられ、ネクタイも少し緩めてボタンを一つ開けた。 ……でも何で髪の毛触ったんだろ? 「今日はこんなんだが…ブレザーよりガーディアンのが瑛太には似合うな」 「そう?じゃあ明日からは…」 [*前へ][次へ#] [戻る] |