15 ……いなくなったといってもたった数日だ。それよりも今は明日のことだろう。 理事長が自ら集会を開くといった。もう不注意やらなんやらで済む話じゃねぇ。 とにかく、何かある前や気持ちを落ち着かせてぇときはあの場所へ行く。 それはもちろん、いるだろうという確信も持ってな。 「あ……り、…っ」 『明日…明日で終わる』 やはりいた。 だが声をかけることが出来ず、足は止まった。 妙に不気味な赤い月に照らされた理人は、怖い感じを出しているのに妖艶で、鶴を磨きながら話す声が心地いい。 そしてなぜか、そこが絶対領域に見えた。俺は話しかけることすら許されねぇ。 ブツブツと何かを話す理人をしばらく見つめ、静かにその場を立ち去った。 「………明日、な」 何があるか分からないが、理人がいうならそうなんだろう。 明日、俺も少し警戒しておこう。 * * * 「っ…ヤッベェエ!」 マジかよっ…え、俺寝てたのか!?いや、あれから磨き終わってしばらく鶴を眺めてたんだ。 ……ああ、それから記憶ねぇもんな。寝てた以外ねぇや。 [*前へ][次へ#] [戻る] |