[通常モード] [URL送信]
15
……いなくなったといってもたった数日だ。それよりも今は明日のことだろう。

理事長が自ら集会を開くといった。もう不注意やらなんやらで済む話じゃねぇ。


とにかく、何かある前や気持ちを落ち着かせてぇときはあの場所へ行く。
それはもちろん、いるだろうという確信も持ってな。



「あ……り、…っ」


『明日…明日で終わる』



やはりいた。
だが声をかけることが出来ず、足は止まった。


妙に不気味な赤い月に照らされた理人は、怖い感じを出しているのに妖艶で、鶴を磨きながら話す声が心地いい。

そしてなぜか、そこが絶対領域に見えた。俺は話しかけることすら許されねぇ。


ブツブツと何かを話す理人をしばらく見つめ、静かにその場を立ち去った。



「………明日、な」



何があるか分からないが、理人がいうならそうなんだろう。
明日、俺も少し警戒しておこう。



* * *



「っ…ヤッベェエ!」


マジかよっ…え、俺寝てたのか!?いや、あれから磨き終わってしばらく鶴を眺めてたんだ。

……ああ、それから記憶ねぇもんな。寝てた以外ねぇや。




[*前へ][次へ#]

15/52ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!